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Training for D-Day

ブログの内容は個人の見解であり、所属する企業を代表するものではありません。

JONY IVE ジョナサン・アイブを読んで

今回、いくつかの目的を持ってこの本を手に取りました。

  • 純粋に、ジョナサン・アイブがどのような人物なのか知りたい。
  • アップルは優れた製品(ハード・ソフト両方)を世に、迅速に出している。どのような開発手法をとっているのか知りたい。
  • 今後のアップル。アップルは加速はせずとも、今の路線を走るのだろうか。

箇条書きレベルですが、特に気になった点をつらつらとメモりました。

1.ジョナサン・アイブはどのような人物か。

・1967年、イギリス生まれ。
・父親は、エセックス群で長年教師を務めていた。
・父親は、銀細工職人で教師をしていた。幼い頃から父親の影響を受け、デザイン街道を走る。
・父親とよく話をしていた。このデザインはなぜこのようなデザインなのか、話をすることも多かった。
・高校時代から才能は群を抜いていた。大学に入っても、数々の賞を総なめ。
・デザイナー以外(例えば、資金提供者や製造にかかわる人たち)の人たちにアイデアを伝えることができる。
・自分では絵がうまくないと思っているが、まわりからみるととんでもない。
・社会に出てから、デザインに関していくつかの挫折を味わう。「彼ら(ロンドン内のクライアント)は「生産可能なもの」を求め、そうすることでデザインの魂を壊していた」--ダービシャー
・模型やプロトタイプを大量に制作することは、アップルでの「ジョニーらしさ」のもうひとつの象徴となっていた。
・大学時代から、プロトタイプを大量に制作。
・大学時代は、普通プロトタイプと言ったら張りぼてを作るが、ジョニーは内部の構造まで綿密に作りこんでいた。(部品も入っている)
・ジョニーはあるべきものを正しく作ること、それが目的にかなっていることをいつも気にかけている。
・テクノロジーに人間味を持たせることにこだわっていた。
・チームを想い、仲間を想い、なによりもアップルを想っている。
・自動車大好き。
・彼が仕事について語るとき、その主語は「僕」から「僕ら」に代わる。(「I」じゃなくて「We」ってことかな。)
・人生を通してこだわり続ける色は、「白」。
・ジョニーは管理職として雇われたわけではないが、リーダーとしての資質は際立っていた。「ジョニーはすごく真摯に仕事と向き合ってた」「仕事に対してどこまでも貪欲だった。口数は少ないが深く考えていた。真面目だが、本当に優しい。静かにみんなを導いていた。彼のために働きたいと思わせる人物だった」 --イングリッシュ
・29歳で、アップルのいち事業部(IDg)のリーダに。
・企業の中で成功できる人間だった。延々と続くミーティングに終わりまで付き合い、自分のデザインを形にするため中間管理職と闘うこともいとわなかった。

2代目ニュートン・メッセージパッドのデザイン(コードネーム・リンディ)

・アップルにきてからの最初の大仕事は、2代目ニュートン・メッセージパッドのデザイン(コードネーム・リンディ)だった。1992/11-1993/1にかけて取り組む。まず行ったのは、製品ストーリーを考えることだ。ニュートンは多目的の斬新なデバイスのため、主となる用途を思い描きにくかった。「ふたは、ユーザが最初に目にするもの、そして最初に触れるものだ。電源を入れる前に、まずふたを開くから、それを特別な瞬間にしたかった」
・1日遅れるごとにどれだけの売上を逸しているを考えると、必死にならざるを得なかった。
・ジョニーは最初のデザインから2週間で模型を作り上げ、周囲を驚かせる。かつてない速さ。
・なにがなんでも間に合わせると決心し、製造問題を解決するため台湾に飛ぶ。工場近くのホテルに2週間泊まりこむ。ハードウェアエンジニアと、ホテルの部屋でタッチペンの飛び出し機能の不具合を解決。
・「最高のデザインを生むには、製品と共に生き、同じ空気を吸わなければならない。仕事にすべてを捧げなければ、偉大なデザインは生まれない」 -- パーシー

iMac

「エンジニアリングの指示は脇において、ユーザーから考えることにした」
「ユーザがそれをどう感じるか、それは心のどの部分を占めるべきか、といった答えのない質問を優先した」
「工業デザイナーは、モノをデザインするんじゃない。僕らはユーザが対象をどう受け止めるかをデザインする。」
「その存在、機能、可能性が生み出す意味をデザインするんだ」
「コンピュータ業界は、デザイン的にはおよそ信じられないほど保守的になってきた。目に見える機能(処理速度、容量、CDドライブの性能など)にこだわりすぎている。そこで競争するのは簡単なんだ。数字が大きいほうがいいんだから」
「でもそれでは、人間味がなくて冷たいと思う。」
・精巧な模型を作ることが、デザイン工程の核となる。
・当時主流だったフロッピーディスクを削った。「先に進もうとすれば、置いていくものが出る」
「デザインを差別化の手段だと思っている人が多すぎる。僕達の目標は、差別化じゃなくて、これから先も人に愛される製品を創ることだとわかってほしい。差別化はその結果なんだ」
「革新を宿命とする企業では、革新をしないことがリスクなんだ。」

iBook

「明日の可能性に触れる機会のない人たちに、未来のデザインについて聞くこと自体が的外れだよ」
「部品が少なければ耐久性も向上し、パーツ同士の関係も改善します」 --あるデザイナ

・ジョニーは、デザイナー全員参加のデザインセッションには必ず参加する。
・ジョニーは、社内のほかの部署から自分のチームを守ろうとする意識がとりわけ強い。「ジョニーはチームの失敗を自分の責任とするタイプです。デザインの弱い部分を自分のせいにするでしょう。満足行くものでなければ、自分のミスだというはずです。部下に責任を押し付けるような人ではありません。」 -- ゴウタム・バスキ

iPod

・「絞り込むこと、機能を付け過ぎないことが大切だった。複雑にしていれば、失敗していただろう。なにができるかよりも、さまざまなものを取り除くことが鍵だった」

近況

・2012年、イギリスにてナイト爵を授与され、一般人ではなくなった。
・2012年~、主要製品すべてのハード・ソフトのインターフェース責任者となる。
・個人資産は300億以上

2.アップルの製品開発

ジョブスがスカリーに追い出されてから~

ブルーナーが超頑張って、アップル社内での「デザイン」の価値を落とさずにいた。
「非公式プロジェクトから最高のアイディアが生まれることも多く、パラレルデザイン開発の価値は非常に大きかった。そこで得られた情報は、デザイン言語を豊かにしてくれるばかりか、『これが進むべき道だ』という方向性を示してくれた。」
・大きな組織は官僚的になりがちで、それが良質なデザインを妨げていた。
・大企業の中で、少人数のデザイン事務所のように運営できる組織を作りたかった。小規模で、優秀で、スピードがあって、才能にあふれ、豊かな文化のある組織を作りたかったんだ。 -- ブルーナ
ブルーナーは、優秀な人材を集めるために、デザイン雑誌に自分の作品を宣伝しはじめる。
・アップル社内で外部コンサルタントのような経営形態を保つため、ブルーナーはゆるやかな組織構造を置き、その形がおおかた今日まで続いている。進行中のプロジェクトすべてにデザイナー全員で取り組む形だ。「複数のプロジェクトを掛け持ちし、あっちをやったりこっちをやったりしていた。今のジョニーのやり方も変わらないな」
ブルーナーはエンジニアリングからデザインに力を取り戻したかった。そこで戦略を練った。非公式の『パラレルデザイン開発』だ。「デザイン言語にかかわる長期研究、未来のテクノロジーがどのようなものになるのか、モビリティとはなにを意味するかといった課題を長い視点で考え始めた」
・パラレルデザイン開発とは、以下のようなものだ。
エンジニアリング部門からひとつお化粧仕事を頼まれるたびに、10の異なるプロジェクトを立ち上げた。それらをコンテスト形式で、デザイナーたちに全員参加とさせた。
・デザイナーの採用では、エンジニアリングとコンピュータのスキルは絶対に必要というわけではない。「人柄、圧倒的な才能、少人数のグループで働く能力を見ている。こちらが恐縮するほどの才能をみせつけてほしい」--デイ・ユーリス
・「中間管理職の層は限りなく厚く、そのほとんどはデルかHPの出身で、デザイン主導のアプローチを理解できなかった。安い金属で製品を覆うデルのやり方に慣れきっていたんだ。デルはその方法で大量のコンピュータを売っていたからね。」 -- ブルーナ
・20周年記念マックは、デザイン的には成功したが、ビジネス的に大失敗した。これが原因で、ブルーナーはアップルを去る(1995)。後釜にはジョニーを抜擢した。このとき29歳。ジョニーは「全体を俯瞰する能力」があった。
・アップルはトップダウンから転じてボトムアップの企業に変わっていた。どんな決定にも、関係者全員のコンセンサスが必要だった。
・コンセンサスによる製品開発が官僚的すぎる。新製品の提案には、マーケ、エンジニアリング、ユーザ・エクスペリエンスの3種類の提案書が必要だった。これは組織だったプロセスではあるが、欠点もあった。面倒で官僚的でスピードがないうえ、妥協を強いられるのだ。まとまりの無い製品ができる。

ジョブス復帰後~

・ジョブスは、アップルの複雑な製品構成を、各従業員に3週間聞いてもまわったが、まともに答えられる人はいない。
・製品と同じく、組織図もわけがわからなかった。
・パワーポイントのプレゼン禁止
・メンバーに語らせ、自分(ジョブス)で質問する。
・18ヶ月で4200名をリストラ。
・どんなコンピュータ会社や自動車メーカーより、CAD業界に多くのソフトウェアを開発させていた。 -- アンドリーセン
・デザインの工程は、発想からスケッチ、模型、製造へと順番に進むものと思われているが、それは違う。行ったり来たりするのだ。すぐに模型にとりかかることもあれば、エンジニアリングやオペレーションと協力することもある。 -- ストリンガー

ANPP( Apple New Products Process )

・製品開発のあらゆる段階での詳細な記録が進化してANPPができたとジョブスは言う。
・巨大なチェックリストのようなもの。
・すべての製品の格段階で全員がすべきことが事細かに描かれ、ハードウェア、ソフトウェア、オペレーション、財務、マーケティング、その上発売後の修理や問題処理までそれぞれの部署への指示が網羅されている。
・リストにはサプライチェーンから店舗までのすべてが含まれている。全サプライヤ、その下請けも入っている。その数は数百社に及ぶ。塗装からネジから半導体まで、すべて。
・明確に定義されたプロセスですが、複雑でも官僚的でもありません。大切なところで全員の創造性がより発揮できるようなシステムです。結果を見ればわかるでしょう。アップルは本当にスピードが速いんです。 -- 元社員
・ANPPの際立った特徴は、組織的な記録作り。
「ひとつ残らず書き留めます。それが義務づけられています。さまざまなことが同時に進行していますから。私がいたときも、あらゆるプロセスが試されていました。そこがアップルの素晴らしさです。手法を説明する小冊子があり、それがソフトウェアやハードウェア開発の助けになるんです。アップルではすべてを体系的に記録しなければなりませんでした。エキサイトやヤフーといった別の会社で働いてみて、はじめてアップルのすごさがわかりました。他社には全くそういったものがなかったんです。何も書き記さないんですから。プロセスってなに?嘘でしょ?という感じで、仕事が終わるとなにも残りません。」 -- サリー・グリスデール

コンカレント・エンジニアリング

複数の部署が同時並行的にひとつのプロジェクトに取り組む手法である。
NASAや欧州宇宙開発のような巨大で複雑な組織も、この手法を取り入れている。
・複雑だが柔軟。
・開発工程と製造、サービスからリサイクルまでの製品サイクルすべて同時に考えるため、問題を早期に発見できる。

ユニボディ・プロセス

・多くの機械加工の作業をひとつにまとめた呼び名。
・先端のCNCマシンを利用する
・「コンピュータ業界では前例のないような高水準の精密さを可能にするのが機械加工だ」 -- ジョニー
・「これまで製造誤差を減らすことに異常なまでにこだわってきた。アップルの作る製品は、さまざまな意味で外側より内側のほうが美しい。それは僕達がどれだけ気を配っているか、心を込めているかの証明なんだ」 --ジョニー
・「工業生産の職人的取り組み」
・これまでのアップルの生産は大量の労働力に頼ってきたが、ユニボディプロセスによって自動化の方向へと向かう可能性がある。
・ユニボディは、「デザイナーの夢」 -- IDEOデニス・ボイル
・「機械加工はコスト高になるとして避けられてきた。だが、アップルはやり方をみつけた」

デザイン駆動

・アップルにはいわゆる研究開発部門はなく、いくつかの部門でそれぞれの研究開発を行っている。アップルでは16人のデザイナーが製品と製造工程の改善に取り組んでいる。(一方で、サムスンは世界34ヶ所の研究所に1000人のデザイナーがいる。もちろん、サムスンはアップルよりはるかに多くの製品を抱えているが)
・デザイナー全員参加のデザイン工程が守られるように、ミーティングは毎週行われる。週に2,3回はチーム全員がキッチン・テーブルの周りに集まってブレインストーミングを行う。これにはデザイナー全員の参加が義務づけられている。例外は許されない。ブレインストーミングは朝9時か10時にはじまって、3時間ほど続く。
・その話し合いからスケッチが生まれる。

製造効率

・ティム・クックは、新たなERPを導入し、余剰在庫を一層できるシステムを構築した。このシステムのおかげで、アップルは需要に応じて、カンバン方式の製造が行えるようになった。

3.その他

・美しいデザインを描いても、そこで終わっていたらものづくりを実践していることにはならない。 --ブルーナ
ブルーナーは、ジョニーに3回アップル入りを断られている。4回目でやっと実現。
「それが採用というものだ。すばらしい才能を見つけたら、手に入れるまで誘い続けるのさ」 -- ブルーナ
・人材の採用には、スタジオが欠かせなかった。退屈な仕切り机の中でデザインなんてできない。そんなところじゃ誰も働きたがらない。。天井が高くて気分の高揚するようなオープンスタジオが絶対に必要だ。それがものすごく大切なんだ。それが仕事の質を左右する。やる気を生むんだ — ブルーナ
・スタジオの中を流れるように細長く配列したんだ。総務の連中は理解できなかった。だめだと言われたが、押し通した。彼らは気が狂いそうになっていたよ。すごく楽しかった。圧迫感の少ない場所にしたんだ。-- ブルーナ

4.今後のアップル。

・環境問題への対応。ユニボディはそれを可能にする。
・ジョニーの葛藤
 アップルは非常に注意深くブランドのDNAを作ってきたが、それが呪縛となり変化を妨げている」
 「自分を一から作り直せるか?それとも時代に取り残されるか?ジョニーとにとっては悩ましいところだ。アップルは新たなデザイン言語を開発しなければならない。それはどのようなものになるだろう?ジョニーがアップルを次のレベルに引き上げるチカラを持っていることは間違いない。だが、それがなにより難しい挑戦であることもまた事実だ」 -- アレックス・ミルトン教授

5.まとめ

  • 父親の影響は偉大だ。
  • ジョニーアイブは天才であることがわかった。なんとなくわかっていたが。
  • リーダシップとコミュニケーションも凄まじいのでは。
  • 上司の扱いがうまい。
  • 割りと確執が多い。(ねたまれるのかな)
  • ブルーナーはもっとすごいことがわかった。半端ない。クレイジーだ。ブルーナーがいなければ、今のアップルはなかっただろう。
  • ブルーナー格好良すぎるじゃないか。(http://www.gizmodo.jp/2014/05/beats.html
  • ANPPの詳細が知りたいが、情報がない。
  • コンカレント・エンジニアリングもあまり情報ない。
  • ソフトウェアが非常に重要だと謳われているが、あまりソフトウェアに言及されていない。アップルはやはりハードウェアの会社なのかなと感じた。(中のソフトウェアの人、気持よく仕事してるのかな)