Training for D-Day

ブログの内容は個人の見解であり、所属する企業を代表するものではありません。

SAFeとLeSS

まず前提として、SAFeとLeSSは比較するようなものではありません。
SAFeの本質は、予算管理にあります。Lean Portfolio Managementを導入していないにも関わらずSAFeとは言えません。
Lean Portfolio Managementは、10週間(四半期)に一度、限られたバジェットの中での予算配分を動的に柔軟に変更する、ということです。これによりプロダクト毎の優先度を変化させていきます。
そのためにKanbanを使って、各Productの状態を把握したり、Program Backlogと呼ばれるProduct backlogのもっとEpicレベルのもののみを扱ったアイテムの優先順位を決めたりします。
また、開発チームはScrum、Kanban、XPなどどのような手法をとっても良いと書かれていますが、SAFeに出てくるScrumはScrumではありません。PO、SM、開発チームの役割がScrumと異なっています。 つまり、イテレーション開発です。Scrumではありません。

Remove References to Scrum from SAFe!



LeSSには、予算管理のような概念はありません。
これは明確に記載されている訳ではないので推測ですが、LeSSは、究極的に、1Productに予算権限・収支報告(P/L)まで割り当てることを見込んでいるからだと思います。各Productが一つ一つの会社のようなイメージでしょうか。
そこまでシンプルにすると、予算管理もシンプルになります。プロダクトバックログだけで予算・収支まで考えられるようになるぐらい、シンプルにする。
もちろん、Productとは何か、という定義は必要で、且つLeSSの場合は非常に、広いものになります。
LeSSは、Scrumと同じなので、PO、開発チーム、SMしかありません。CEOもCIOもCFOも登場しないのです。
LeSSは、”従来の考え方”に疑問を投げかけてくれています。
まとめる人、管理する人、整理する人って本当に専任で必要ですか?ということです。
究極的にはそうかもしれませんが、既存の企業は、この境地に辿り着けるのでしょうか。ボトムアップだと20年くらいかかりそう。


今現在、SAFeとLeSSは共存できないという見解です。なぜならLeSS = Scrumだから。
複数チームでScrumをやるとLeSSになる訳ではないのです。

ティール組織で言う、
オレンジ組織であれば、SAFe導入がしっくりくるでしょう。ヒエラルキーを保ったまま、大規模アジャイルを実践します。
グリーンからティール組織であれば、LeSSがしっくりくるかなと思います。ヒエラルキーがなくなりつつあります。マネージャーは残るかも知れませんが、役割は少なくなります。


SAFeは、Do agile
LeSSは、Be agile
SAFeは、ビジネスドリブン
LeSSは、現場、開発ドリブン
という感じがします。

  Essential SAFe(4.5) Large Solution SAFe(4.5) Full SAFe(4.5) LeSS LeSS Huge
規模 50~125人  1トレイン 2トレイン以上 2トレイン以上 LeSS:2Team-8Team LeSS Huge:9Team
役割 RTE/System Arch/Product Mgmt PO/SM/D-Team Essentialに加えて、 Solution Arch/Solution Mgmt/STE Large Solutionに加えて、 Epic Owners, Enterprise Architect PO 1人 SM 1人で3チームくらいまで見れる D-Team LeSSに加えて、APOが入る場合がある。 1エリアは4チーム以上。
バックログ Program Backlog Team Backlog or Kanban Essentialに加えて、 Solution Backlog Large Solutionに加えて、 Portfolio Backlog Product Backlog1本 LeSSと同じだが、エリア属性が加わる。
導入の考え方 (清水主観) 教育・研修によるトップダウンアプローチ マネージャーやCEOを先に教育する ←に同じ ←に同じ ボトムアップ(チーム中心)を重視 本質的なマインドセット変革 ←に同じ
際立った特徴 10sprintに1回、PIPlannningがある。10Sprint分の計画を事前に建てる。 ScrumMasterやProductOwnerがScrumはできない。=SAFeでも、スプリントという言葉は禁止されていて、イテレーションと呼ぶことになっている。 SAFe内で表現されているイテレーション開発は、Scrumではない。TOOになっている。仕組み上仕方ない。 SAFeの中からScrumという言葉を消してくれムーブメントが起こっている。 http://remove-scrum-from-safe.tilda.ws/ ←に同じ ←に同じ Scrumにいくつかのイベントを足しただけでシンプル ←に同じ
チーム 75%はFeature/25%はComponent ←に同じ ←に同じ Featureを強く推奨 ←に同じ
働く場所 同じ場所は必須ではない ←に同じ ←に同じ 同じ場所を強く推奨 ←に同じ