ティール組織の意思決定
正式な階層が存在しない場合の意思決定はどうなされるか?
- 作者: フレデリック・ラルー,嘉村賢州,鈴木立哉
- 出版社/メーカー: 英治出版
- 発売日: 2018/01/24
- メディア: 単行本
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ティール組織の意思決定は、原則として、誰がどんな決定を下しても構わないそうです。 ただし、決定を下す際に、すべての関係者とその問題の専門家に助言を求めなければならないそうです。これを助言プロセスと言います。 意思決定者は発案者。しかし、助言は得よう。助言を得た上で、自分で決めよう。ということです。 これには以下のメリットがあります。
- 発案者は、自分の状況を説明、理解し、自身で判断を下すことから、圧倒的に主体的になれる。その問題に誰よりも詳しくなれる。
- 助言を求められた人も、そのような問題、やるべきことがあったのか、と気付ける。(同じコミュニティにいる感覚になる)
- 助言を求められた人は、「必要とされている」とわかる。
- 発案者は、自分でその問題を解ける。この上ない喜びを味わえる。
思い返せば、私も問題解決を行う際には、
- 広く情報を集める(集めるときに助言もしてもらう)
- 自分で解く(この解き方でいいですよね?ということも助言してもらうときもある)
- ただ、回答は待たない。期限を決めて先へ進む。(失敗するときも多々あるが、スピードを重視する)
というプロセスを踏んでいたと思いました。 意思決定というと、トップダウンかコンセンサスかの2つしかないと思われるが、これが三つ目のやり方です。 コンセンサスだと責任の所在が曖昧になりやすいです。 助言プロセスの場合、責任の所在はあくまで発案者になります。 意思決定プロセスを表にまとめました。
トップダウン | コンセンサス |
助言プロセス | |
---|---|---|---|
主体性 | ☓ 上から言われたことをやるだけ、になって仕事がつまらないものになってしまう。 |
○ 合意をえるために主体的になる必要があり、自分でモノゴトを進めているという感覚はある。 |
○ 自らが問題を解くので、主体的にならざるを得ない。 |
責任の所在 | ○ トップに権限が集中する。 |
☓ コンセンサスだと責任の所在が曖昧になる。 |
○ 自らが問題を解くので責任もハッキリしている。 |
決定のスピード | △ トップが決断力があるなら速いが決断力がないなら遅い。 |
☓ 全員の合意には時間がかかる。 |
○ 自らで決定のスピードを決めることができる。助言プロセスにおいても期限を決めれば良い。 |
解決の適切さ | ☓ 現場のことがまるでわかっていない解決策を指示される可能性が高い。 |
△ 全員がWinWinになろうとして誤った解決策へ進む可能性がある。 |
○ 現場に一番近く、適切な解決策が出て来る可能性が高い |
ティール組織の場合、例えば、購買をするにしても、自分自身で決めます。 ただ、助言プロセスに従う必要があります。金額が大きいほど、より多くの助言が必要となりますが、最終決定者は自分です。 大量購入すると割引ができる場合はどうか。これも決定者を「信じる」。もし他のチームでも同じものが大量発注が必要だったら、助言プロセスにて明らかになるはずである。